「企業は人なり」とはよく言ったものである。人材の優劣は企業にとって大きな経営要素の一つだ。しかし、「良い人材を採用することは本当に難しいものだ」と実感している経営者の方も少なくないであろう。筆者も過去に中途採用の難しさに苦悩した経験を持つ。情けない話であるが人材への目利きが甘く、貴重な戦力として育成するどころか返って負の資産を残すこととなってしまった。そのことは、大きな反省材料として筆者の心の中に深く刻み込まれている。その時の敗因を冷静に分析してみると以下のようになる。
1. 学歴や職歴など履歴で人を評価、判断したこと
学歴や職歴にこだわらず未来に夢を描き一所懸命に挑戦しようとしている人を採用すべき。
2. 目的意識の低い人を採用したこと
目的意識の高い人は、どんな仕事であってもスキルを身につけ一歩一歩螺旋階段を上がる。
3. 明るい人(性格)の基準を間違えたこと
真に明るい人は、普段めったに笑顔をみせなくても、問題に直面した際前向きに対処できる。
この時の大失敗を真摯に省みて、今の自分なら次のような基準で人を採用してみたいと考えている。
1. 何をやったかではなく「何ができるか」
過去にやった実績が大きければ大きい人ほど、自社の現状と比較して批判的になる。履歴書の内容や面接時の態度を直接評価するのではなく、「この人には何ができるのだろう」と潜在的な可能性を見抜くことが重要である。
2. 記憶力よりも思考力に優れた人
ビジネスの環境は常に変化し続けている。その変化に対応する能力は思考力にある。その思考力に行動力がプラスされれば鬼に金棒である。
3. 個性豊かな人
他の従業員と違う個性を持ち、違う感覚や発想を持つ新しいメンバーを加えることによって、新たな方向性が生まれる。但し、勘違いしてはいけないのは、個性豊かとは良識に欠けた人や自分勝手な人のことではないので、そこは特に注意が必要不可欠である。
常に良い人材を採用することができれば企業は成長を遂げ発展し続けることが可能になるわけだが、正直なところ「言うは易し行なうは難し」である。
人を採用するには多くの経費や時間を必要とすることから、採用で致命的な失敗を犯さないためにも今一度自社の採用基準を見直し明確なものにしてみてはどうだろうか。