日々繰り返される他社との激しい競争のなか、職場のコミュニケーション促進を図るために、部やチーム単位の飲み会費用を予算化している企業も少なくないと聞く。実は筆者もこの職場コミュニケーション費用の予算化には前向きな考えで、経費削減の流れのなかでも最後まで残すべき聖域だとも思っている。金額の大小やお店のレベルなどにかかわらず、同じ部やチームの仲間と一緒に食事をしたり、楽しく飲んだりすることが会社として奨励されることが重要なのだ。俗に言うところの「同じ釜の飯を食う」ということだろうか。
職場コミュニケーションを予算化することの最大のポイントは、職場で飲みに行ったり、食事会を開いたりする絶好の口実となることである。個別の飲み会や食事に全員参加を呼びかけるのは大変であり、アフターファイブまで社内の人間と付き合いたくない若手社員などは、そもそも個別の飲み会には参加したがらない。
しかし、予算化され定例会化されていると、どういうわけか参加障壁が低くなり参加率が上昇するという。こうした飲ミュニケーションは、職場の活性化につながるというより、むしろ活性化を阻害している要因に対して免疫機能が働くのだと思われる。
タイムリーな時事問題や芸能ネタ、趣味の話、プライベートな話、そして酔いがまわるほどに仕事の話になるなど、飲ミュニケーション(潤滑油)をとおして世代、階層を超えた縦横無尽の交流が組織の隅々にまで血液を循環させるということである。
社員1人当たり年間1万数千円程度の職場コミュニケーション予算で、職場の意思疎通が促進できるのなら抜群の費用対効果となるだろう。
なにも居酒屋ばかりが職場コミュニケーションの場ではない。寿司、中華、焼き肉だっていい。その回ごとに新しい店を開拓するのも実に楽しい。若い社員に幹事をしてもらい店の選定から会話の進行までを自由に任せるのもいいだろう。小さな投資で明るい職場づくりを実現する職場コミュニケーション費用の予算化をぜひお勧めしたい。