自社のUSPを棚卸し➡高価値化実現へ

 「うちの会社には“これ”といった特徴がないんだよ・・」こんな言葉を時折耳にすることがある。経営者や従業員の中には、自社の売上が伸びない理由を、他社に比較して圧倒するような際立った特徴がないからだと考えているケースが少なくない。

 そのような場合は、自社のUSP(Unique Selling Proposition・ユニークセリングプロポジション)換言すれば売り方を意識して考えてみることをお進めしたい。

 USPとは、他にはない独自の価値を提案するマーケティング手法である。このUSPが明確な企業、あるいは商品は、顧客にとって何をしてくれるのかが明確であるため選ばれているのだ。

 一方、何の特徴も示すことができていない企業や商品は、顧客がどんな時に役立てることができるのかイメージしづらいため選ばれるチャンスは少ない。

 しかし、ここで重要なことは、USPは必ずしも他と比較して優れているところである必要性はないということである。

 例えば、ダイソンの有名なキャッチコピー「ダイソン。吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」もUSP手法に当てはまる身近な事例である。ここでいう変わらない吸引力というのは、吸引力そのものが他社製品よりも優れているということは言っていない。ポイントとなるのは、従来の紙パック式掃除機では使うごとに目詰まりが起こりやすく、紙パックが満杯になるまでは集めたゴミを捨てられず、吸引力が徐々に低下することは仕方がないと思っていた消費者心理に着目し、変わらない吸引力をアピールしたことだ。

 顧客が得られる価値を簡潔・明瞭に打ち出すことで、他の掃除機の何倍もの価格でもヒット商品へとつながったのである。

 このように、USPを棚卸しすることによって、高価格での販売が可能となり、価格競争にも陥らずに商品の展開ができるようになる。その企業が何を考え、何をしてくれるのか、他社との差異化を明確に表現することが不可欠である。

 それには、顧客の立場で自社にどのような特徴や利点があるのか、明確にわかるよう表記されているのか考えることや、それでもわからない場合は顧客アンケートや、顧客から直にヒアリングしてみるのも一考である。

 まずは自社のUSPの棚卸しから始めてみてはどうであろうか。