この際、儲からない仕事は見切ってしまうのも!

 経営においては、自社の経営環境を見直しするのとあわせて、これまでやってきた仕事についても改めて見直してみることが大切である。皆さんの会社でも儲からないのにやってしまっている仕事はないだろうか。正直なところ筆者も長年続けている仕事の中に儲からないものも幾つかある。そこは皆さんの会社でも既にどのような仕事をやってきたかを把握しているわけだから十分わかっているはずだと思うのだが、「昔からの大事なお付き合いだから・・」とか「親しい知り合いの紹介だからむげに断ることができない」など、儲からないとわかっていても、受けなければならない仕事が発生することがある。

 しかし、それを続けることでもたらされるメリットは、はたしてどれだけあるのか。「損して得取れ」ではないが、現状、損をしてでも後に大きく利益として返ってくるような案件であれば、将来への種まきや先行投資と捉え、引き受けるのは悪くはない。

 ただ、明らかにプラスが望めないのであれば、たとえ断りづらい相手であったとしても、できない理由を明確にして取引を解消することも仕方がないことである。

 そこで、相手先へ断るための説得材料とするためにも、まず自社の現状を数字として把握してみることが必要不可欠である。

 例えば、C社は儲からない仕事により、赤字の額が1,000万円発生してしまったと仮定する。C社では、その赤字となった1,000万円を取り返すのに、どのくらい仕事が必要になるのか。仮にC社の利益率が5%だとすると、1,000万円の赤字を取り返すのに、2億円の売上を新たに確保しなければならない計算になる。

 さらに言うと、赤字になった仕事に費やした労力と時間は返ってこない。その経営資源を他の仕事に充てることで利益を得られた可能性もあるからその点も考慮する必要がある。1,000万円を取り返すために、利益率が5%以上の案件で2億円分の売上が必要となれば、それがどれほど大変で厳しいことかわかるはずである。

 義理人情や古い付き合いを大切にしたい気持ちは理解できるが、儲からないボランティア的な仕事の取り方では会社の存続すらも危うくしてしまう。厳しい言い方になるかもしれないが、儲からない仕事を見切ることも、経営者には必要な資質の一つであると思う。