お金の取れる接客サービスに全力を注げ!

 先のGW中に久しぶりに長男家族と長女家族合わせて10人で近隣の大衆向けレストランにランチに行った。

 その店は年に複数回利用しているが、一般客用のテーブル席とは別に家族客用の個室があり、幼児を連れて気軽に楽しめるのが利用する大きな理由である。メニューはごく普通、味もそれなりのものだし、価格も高くも安くもなく、良くも悪くも所謂「こだわり」を感じない店づくりだ。

 ただ、いつも感じていたのは接客の悪さだ。たいてい店に行くのは日曜祭日の繁忙日で、しかも大所帯でオーダーするメニューも多岐にわたるから手のかかる客には違いない。そのことを割り引いても「この接客はないだろう」といつも不満に思っていた。

 例えば、来店時の「いらっしゃいませ」のあいさつもろくに無い、オーダーを取る際も復唱しない、オーダーした料理がいつまでたっても出てこないケース(結果的に忘れ去られていた)も少なくない。おそらく出した料理と注文伝票のつけ合わせもしていないのだろう。いつものことでもうすっかり慣れっこになってしまった。それでも行き続けるのは大人数でしかも幼児を連れて行ける数少ない店であるからだ。これから孫が成長して大きくなり、このままこのような接客を続けるならこの店を利用する機会は当然減る(=将来の販売機会の損失)と思う。

 このように接客を「飲食店にとって“付けたし”のようなもの」というとらえ方をする店がいまだに多いことに気づかされる。経営者の頭の中には、接客も原価と同様に大切なものという大原則がまったく欠如している。接客サービスを軽く見る店はいつか客に見捨てられるのだ。こういう店づくりをしている限り、客はその店で飲食する価値を認めない。それなら持ち帰り弁当を家で食べた方がいいという客さえ出てくるだろう。

 飲食店に限らず、あらゆる商売は客なしでは成り立たない。経営者および従業員の生活はすべて客の存在によって支えられている。この点を問い直せば、形だけの接客サービスでお茶を濁すなど、到底考えられないはずである。まず、客の身になって物事を考え、いま何をすれば客が喜び満足してもらえるのかという点について頭を巡らせてみることが必要である。

 お金の取れる接客サービスとは、常にこの原点に立ちかえるということだと思う。