ここ何年かNHK朝の連続テレビドラマ(朝ドラ)にはまっている。ドラマはたった15分の放送なのだが、半年も続けてみるとなれば、それなりに根気や融通の良さが必要である。
ドラマのお決まり(お約束の)のパターンは、月曜日に主人公の周辺に何らかの問題が発生し、周囲の協力と理解を得ながら奮闘し、金曜日あたりで一応の解決をみるというのが多いようである。
筆者が感じている一番のキモは、金曜日の放送の最後に流す来週の予告編である。この短い時間になんとも微妙な場面での主人公の表情や、登場人物のセリフの断片が気になって仕方がないのだ。
はたしてこれからどのような展開になっていくのか、そしてどのような結末を迎えるのか、時にはハラハラドキドキさせられ、時にはまるで自分のことのように胸をなでおろす、といった具合で実に「またその続きを見たくなってしまう」という欲求を喚起させてくれる。
このことは、われわれの商売にも相通じるものがあると思う。
つまり、商品・サービスを購入した顧客に、次はどのような商品・サービスあるいは情報を提供してくれるのかを想起させることが重要なのである。
言わば、商品・サービス・情報の予告編である。それは口頭でもチラシでもSNSでもよい。次の購買動機(リピーター)につなげることが不可欠である。
また、商売のコツもドラマの予告編と同じで、手の内を全て見せてしまうと顧客の興味が一気にそがれてしまう。ちょっとだけ見せる、ちょっとだけ語る、要するに「チラ見せ」する方が購買意欲を一層刺激するのである。
新商品や新サービスを売り出そうとするときに、全てを見せてしまうのもよいが、情報を小出しにしていくほうがより効果があるのではないかと思う。例えば、新商品や新サービスを開発するプロセスをSNSなどで各段階に応じて少しずつ情報提供すれば、顧客はワクワクドキドキしながらそれらの完成を楽しみに待つことになるだろう。
ただ、悲しいことに顧客心理とは実に身勝手なものである。ある人は「惜しまずに早く見せろ」と言うし、また別の人は「全てを見せられると興ざめする」と文句を付けたがる。
要は、商品・サービスそれぞれの特徴や経営方針に合わせ、双方の良いところを採り入れて販売促進を行っていくことが必要だと思う。