厚生労働省が27日発表した2023年の出生数は75万8631人で、前年から5.1%減少しました。減少ペースは想定より速く、この傾向が続くと35年にも50万人を割り込みます。結婚適齢期の人口が急減する2030年の崖を越えると出生数の反転は困難になります。結婚を墓場にしないためにも、政府には雇用や所得の抜本的な改革が望まれます。
金融庁は銀行の融資規律を点検します。粉飾決算などコンプライアンス違反で倒産する企業が増えているためで、審査に緩みがないか立ち入り検査を含め検証します。マイナス金利政策の解除により杜撰な融資が不良債権化するリスクも高まります。金融政策の転換も視野に金融システムの安定確保を目指すとしています。一連の背景には、19年末に不良債権の区分を細かく定めた金融検査マニュアルを廃止し、個別融資の妥当性をみる資産査定検査をやめました。金融機関の自主性を尊重し一定のリスクをとった融資を促すのが目的でしたが、規律が緩み、金融機関によってリスク管理に差が出ている側面もあるようです。
厚生労働省は従業員が100人超の企業に男性による育児休業取得率の目標値設定と公表を義務付けます。男性の育児参加は女性に偏る育児の負担を和らげ、夫婦が子どもを持つ意欲を高めるとの調査報告があります。子育てをしやすい体制づくりを企業に促します。ただ、従業員が少なく、仕事を補い合うのが難しい企業には課題が多いです。幅広な環境を整備するため、24年度からは育休で休む同僚の仕事をする社員に手当を出す中小企業への助成額を拡大するとしています。政策の奏効に期待するほかありません。
民間保育園を運営する企業が習い事サービスに注力しています。保育の受け皿の拡大や就学前の子どもの数の減少で保育園に入れない待機児童は減少しています。地域によっては保育園が入園希望者を取り合う構図も出てきています。運営各社は体操教室や英語教育などで魅力を高め、収益的に経営が成り立つ子どもの数を確保する経営戦略が不可欠です。待機児童の減少は、保護者が保育所を選ぶ時代になってきたということで、保育園の魅力向上に向けて付加的保育が必要なのかもしれません。
米国の宇宙企業、インチュイティブ・マシンズの開発した無人の月着陸船が、民間企業としては初めて月に着陸して地球との交信に成功しました。アポロ17号以来、半世紀ぶりの月面着陸です。月開発ブーム再来の背景には、月に氷が存在することが分かってきたからです。水があれば飲料水だけでなく建築資材や燃料の製造が可能で、月面基地の建設も視野に入ってきます。有人ロケットが月で燃料補給して火星に行ける可能性も広がります。
訪日客消費の回復で地域差が生じています。新型コロナウイルス禍前の2019年に比較して山形や和歌山、高知が大きく伸びています。中国からのインバウンドの戻りが鈍いため、中国依存度が低かった地域ほど消費の伸びが大きいようです。各県はクルーズ船誘致や中国以外へのPRを通じて訪日外国人の多様化を目指しています。23年の日本のGDP成長率は実質1.9%ですが、うち3分の1程度がインバウンドによる押し上げ効果です。インバウンド消費は、少なからず日本経済を支えています。
ファミマとコカBJTはトラック物流で提携します。コカBJTが自社商品を運ぶトラックを使い、ファミマの各商品を店舗に届けます。運転手の長時間労働を是正する4月の規制を前に、業種を超えた物流連携が広がってきました。人口が減少するなかで輸送力を確保するにはデジタル化による抜本的な省人化が必要になります。政府が昨年発表した「物流革新に向けた政策パッケージ」では、自動運転トラックの実用化やダブル連結トラック(1台で通常の大型トラック2台分の輸送が可能)の導入推進などを盛り込んでいます。
日本経済新聞社が2023年10~11月に世論調査をした結果、働き方・社会保障に関する質問で何歳まで働くつもりか尋ねたところ、70歳以上の回答が39%で、18年の調査開始以来最高でした。何歳まで働くつもりかの平均値は18年(66.6歳)から1.8歳上がって68.4歳でした。健康で働く意思さえあれば何歳になっても働けます。「生涯現役」を目指してこれからも頑張ります。
デジタル庁は企業が商号や住所を変える際に商業登記を書き換えるだけで税や営業許可といった各省庁が持つ登録内容を一括で変更できるようにします。年間で少なくとも500万件超の手続きが省略化される見通しです。企業にとっても事務負担が軽減し、より生産性が高い業務に人員を振り向けられるメリットがあります。各省庁がバラバラに扱う公的情報を管理するデータベースを整備します。また、商業登記のほか、不動産登記や住所表記などもそれぞれ一括のシステム構築を想定します。3月にも関連法の改正案をまとめて今国会に提出するとしています。
日本の国内総生産(GDP)が半世紀ぶりにドイツに抜かれ世界4位に転落しました。円安の影響が大きいとはいえ、バブル経済崩壊以降、力強い成長を実現できなかった結果で、今後も順位を下げ続けるとの予測もあります。足元は物価高で消費が弱いうえ、さらに人手不足も深刻化しています。賃金が持続的に上昇するかどうかが景気浮揚に向けた焦点になります。また、成長への鍵を握るのは、脱炭素分野などの産業振興、新興企業(スタートアップ)育成による技術革新の促進など挙げられます。「失われた30年(コストカット経済)」のツケは重いです。
経済産業省は従業員2000人以下の企業を「中堅企業」と新たに法的に位置づけ、地域経済のけん引役として重点的な支援に乗り出します。地域に根ざした中堅企業向けの賃上げ促進税制や設備投資、M&A(合併・買収)への税優遇を設けて後押しし、国内経済の底上げにつなげます。政府は改正案を16日に閣議決定し今国会での成立を目指すとしています。
今日は何の日⁉2月13日は「NISA(ニーサ)」の日」です。NISAは、個人の資産形成を支援するために、平成26年(2014年)に始まった「少額投資非課税制度」です。令和6年(2024年)1月からは、抜本的拡充・恒久化がなされ、新しいNISAに変わりました。金融庁や各業界団体等では、より多くの人に投資の基礎教育を深めてもらうため、NISAの広報活動に積極的に取り組んでいます。あくまでも投資は自己責任です。NISAは元本が保証されているわけではありません。FPなどの専門家からアドバイスをもらうなど、よく考え見極めてから契約することが大切です。
スーパーで食品の特売が増えています。1月は主要な食品156品目のうち3割で販売数量に占める特売の割合が前年同月を上回りました。物価上昇で販売数量が減少した品目も多く消費者の節約志向が一段と強まっています。ロシアによるウクライナ侵攻を契機にした原材料価格の高騰が足元で一服し、プライベートブランド商品を中心に食品を値下げする動きも出ています。物価が上昇するなか、実質賃金が伸び悩んでおり、消費者の節約志向は今後も当分続きそうです。
地方銀行で経営者に個人的な債務保証を求めない無保証融資が急増しています。金融庁によりますと、2023年4~9月の地銀99行の新規融資に占める無保証融資割合が、半年前(22年10月~23年3月)より14㌽高い54%となりました。一方、メガバンクなど大手9行は4㌽高い76.5%でした。23年4月の金融庁の監督指針改正をきっかけに、個人保証に依存した融資慣行が大きく変化しつつあります。今後の課題は、比較的リスクの高い先が対象となる信用保証付き融資での経営者保証(中小企業の4割が使う信用保証制度では、融資の7割で経営者保証が使われています)の取り扱いです。
総務省が6日に発表した2023年の家計調査で、浜松市は一世帯当たりの餃子の年間購入額(持ち帰り専門店、スーパーでの販売が対象)が全ての県庁所在地と政令指定都市で最多でした。3年ぶりの首位奪還です。コロナ禍が明け外食が回復するなか、家に持ち帰って食べる習慣の強い浜松市が統計上有利に働いたとの分析もあるようです。「何はなくともやっぱりギョーザ」ですよね!
政府は5日、技能実習に代わる新制度の方針案を自民党の委員会に示しました。現在は原則認めていない転職の要件を緩和します。本人の意向による転職を制限する期間を業種ごとに就労1年から2年の間で設定できるようにします。関係閣僚会議の決定を経て、今国会への関連法案の提出を目指します。「選ばれる国」への起爆剤となりますか⁉
文部科学省は2026年度から専門学校の履修制度を大学と同じ単位制に移行を開始します。大学に編入しやすくし、就職後のリカレント教育やリスキリングといった学び直ししたい人の背中を押します。ITや医療福祉のような人手不足が深刻な分野で専門スキルを持つ人材を育成します。(参考)少子化の影響で全国の専門学校は減少傾向にあり、23年は2693校で、13年から118校減少しています。近年では毎年30校程度ずつ減少しています)
消費税の税率や税額を請求書に記載するインボイス(適格請求書)制度のもと、2月から本格化する確定申告で初めて消費税を納税するのが約140万事業者に達することがわかりました。制度は適切な納税に欠かせないですが、事業者の事務負担は増えます。2月以降に本格化する事業者の納税事務が混乱すれば、制度への信頼が損なわれます。円滑な導入には、行政によるきめ細かな対応が必要不可欠となります。
日銀がマイナス金利政策の解除を射程にとらえ始めました。1月31日に公表した1月の金融政策決定会合での主な意見からは、賃金と物価上昇の好循環の実現に自信を深め、解除の判断時期が近づいている様子がうかがえます。春季労使交渉の結果がみえる3~4月を視野に見極めは最終段階に入ってきます。異次元の緩和政策は10年超の時をこえて出口に向かいつつあるようです。