生成AI(人工知能)が言語学習者の話し相手になり始めています。言語処理能力の飛躍的な向上で、より自然な会話ができるようになったためです。ヂュオリンゴやスピークなど米国発アプリを中心に「AIが相手だと間違えても恥ずかしくない」というニーズを掴んでいるようです。生成AIを使った安くて手軽な言語学習アプリは新たな選択肢として、英語学習熱の回復に一役買いそうです。
日本が海外の起業家に選択されるための環境づくりが進展しています。起業が伸び悩む背景の一つに在留資格を取得する要件の厳しさがあり、政府は起業を志す外国人が事業所や出資金なしでも全国で2年間滞在できるようにします。ただ、行政手続きのデジタル化や言語の壁への対応など取り組むべき課題は多いようです。
文部科学省は全国の高校の2~3割にあたる1千校を「DXハイスクール」に指定し、デジタル教育の拠点校とする方針を固めました。デジタル社会を担う人材育成の裾野を広げるのが狙いです。既に配布した学習用端末の更新費を含め、小中高のデジタル環境整備に約5年で6千億~8千億円を投じる方針です。指定を巡って差別化、生き残りを図る学校が増えると思います。
厚生労働省は介護サービスを提供するために事業者が地方自治体に届け出る方法を2024年度からデジタル申請に統一します。自治体ごとにバラバラだった書式も共通にします。介護分野に根強く残る紙文化を改め、行政のデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速につなげるのが狙いです。
日本のドル換算での名目GDP(国内総生産)が2023年にドイツを下回って4位に転落する見通しであることが国際通貨基金(IMF)の予測で分かりました。足元の円安やドイツの高インフレによる影響も大きいですが、長期的な日本経済の低迷も反映しています。一方、1人当たりの名目GDPでは、日本は23年に3万3949ドルとIMFのデータがある190の国・地域のうち34位となる見込みです。2000年時点では、187ヵ国・地域のうちでルクセンブルクに次いで2位でした。失われた30年と言われていますが、この30年間、日本はいったい何をしていたと言わざるを得ません。
静岡県の熱海市や伊豆地域で官民が企業研修に的を絞り法人団体旅行を呼び込んでいます。かつて人気の社員旅行から個人旅行へシフトし、新型コロナウイルス禍での落ち込みを経て、個人需要は復調していますが、法人需要は戻りが鈍いようです。そこで、研修先として提案したり、研修に温泉やフィットネスを組み合わせたワーケーションを実証実験したりしています。観光だけではないニーズの開拓で持続性を高める考えです。また、ホテルは人手不足で休日需要に供給が追いつかず、法人需要を取り込めば平日と休日の繁閑差の解消につながります。働き方改革の機運も捉えた企業研修からの法人旅行開拓は、シーズンに左右されにくいインバウンドの獲得ともに重要性を増しています。バブル経済破綻以降なおざりにされていた法人需要に新たなビジネスチャンスがありそうです。
介護業界から人材が流出しています。厚生労働省の分析(入職超過率)によりますと、2022年は離職した人が新たに働き始めた人を上回り、就労者が前年より1.6%減少しました。飲食、小売、製造業などで賃上げが広がり、より良い待遇を求めて転職する人が増えました。介護業界は、介護保険制度でサービス価格は公定価格となっており、物価が上がっても価格に転嫁できず、過去にない厳しい経営環境にあります。介護を必要とする高齢者は増えており(2040年度に約280万人が必要で2019年度と比較して約69万人の不足)、処遇の改善による介護士の確保が急務です。
JTBや三井不動産が富裕層のインバウンド需要を開拓しています。がんの診断・治療や日本酒、雄大な自然体験など、「医・食・体験」に着目した旅をを仕掛けます。オーバーツーリズム(観光公害:多くの旅行者が観光地に集中し、混雑などで満足度が低下、地元住民との共存も困難になる)を軽減しながらインバウンド消費の質を高めます。ただ、課題は富裕層をもてなす人員の確保、特に外国語を話せる人材を確保する必要があります。日本特有の文化や資源を守りながら、需要喚起につなげられるかどうかがカギとなります。
ホンダが日本の無人タクシーの実用化で先陣を切ります。19日、米ゼネラル・モーターズ(GM)と2024年前半に共同出資会社を立上げ、26年から東京都内中心に運行すると発表しました。無人タクシーは人手不足解消の切り札として期待されています。安全面を磨きながら運行データ蓄積で先行する米中を追い、自動運転時代の本格な到来に備えます。日本で先陣を駆けるホンダの成否は、国内の自動運転の普及を占ううえで、重要な試金石となります。
今や中国を追い抜き人口で世界最大となったインド。商用車を含む新車販売は2022年度に485万台を記録し、日本の販売台数を抜いて世界第3位となりました。スズキがインドでの電気自動車(EV)生産に着手するのも、将来の成長を見据えたものです。一方、日本のEV市場は小さく、23年4~9月の乗用車販売に占めるEV比率は2.3%にとどまっています。新車販売台数も年500万台を大きく割り込み、自動車メーカーを支える豊かな国内市場ではありません。EV産業を自国に根づかせる各国の誘致競争が激化していくなか、ますますインドの存在感が高まっています。
日本の男女の賃金格差が2022年までの四半世紀で15ポイント縮小し、21.3%の差まで縮まったことが経済協力開発機構(OECD)の調査(データ)で分かりました。企業の待遇改善で格差は縮まりましたが、なお先進国平均の約2倍あります。さらに格差を縮めるためには、男女が平等に働ける環境整備が不可欠です。テレワークや時差出勤を積極的に導入し、仕事と家庭を両立しやすい職場環境づくりを進めるのも一考だと思います。
信用金庫の預金の伸びが鈍化しています。2023年9月の信用金庫の預金増加率は前年同月比0.3%と前月から横ばいとなり、20年ぶりに低水準となりました。マイナスも視野に入ってきました。高齢化と無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済という2つの強い逆風が吹くなか、信金は若年層の開拓を急いでいますが、預金金利が復活するなかで、都銀や地銀との競争が一段と激しさを増してきそうです。歩留まりの高い個人預金をどれだけ獲得できるかが地域経済に根を張る信金経営の安定性を左右します。
粉飾決算などコンプライアンス(法令順守)違反が発覚し、借換え融資などを受けられずに倒産する企業が増えています。コンプラ違反関連の倒産は、2023年1~8月で228件と前年同期比39%増加し、同期間で過去最多でした。新型コロナウイルス禍の融資金融機関が審査の質よりスピードを優先させた副作用が出ているとみられます。コロナ禍の資金繰り支援は、倒産抑制に寄与した半面、本来なら淘汰されるべき企業(ゾンビ企業)の延命にもつながりました。今後、金融機関は事業の成長性をしっかり見極める事業性評価を実施することが重要です。事業性に問題があれば、廃業や他社によるM&A(合併・買収)を含めた方向性(あるべき姿)を示していく姿勢が求められます。
東京商工リサーチが10日発表した2023年度4~9月の企業倒産件数は前年同期比37%増の4324件でした。上半期としては、新型コロナウイルス感染拡大前の19年度以来、4年ぶりに4000件台になりました。原材料価格の高騰のほか、政府の手厚い資金繰り支援が切れた影響が出ています。年末にかけて増加することが懸念されます。
国土交通省はマンションの修繕積立金を巡り、積み立て途中で過度な引き上げにつながらないよう目安を設けます。負担金の増額幅が大き過ぎて支払いが困難になるケースが生じているため、引き上げ幅に一定の制限をかけます。管理組合のは計画的な積み立てを促すとしています。当たり前のことですが、何にでも経年劣化はあります。
政府は6日、トラック運転手の不足が懸念される「2024年問題」備え、緊急対策をまとめました。荷主や消費者の意識改革など、一連の施策により24年度に見込まれる14万人の運転手不足を解消できるとみています。ただ、トラック事業者は中小企業が多く、対策が浸透するかは課題も多く残っています。
プロ野球巨人の原辰徳監督が4日、今季限りで退任することがわかりました。計17年の在任期間と通算1291勝は球団史上最多です。ただ、監督としての実績が積み上がるほど、長期政権の弊害も生まれます。組織内での積極的な意見交換や主力選手の新陳代謝の不足により、チーム力が落ちた感は否めません。これは企業経営にも通じます。来シーズンは心機一転、阿部新監督に大いに期待が集まります。がんばれ新生ジャイアンツ!!
日本で働く人の最低賃金は10月から平均で1000円を超え、主に中小企業で5人に1人は改定に伴い時給が上がります。人手不足に悩む地方は1円の上げ幅を競い、働く人は年収の壁に戸惑い、企業は価格転嫁の壁に悩んでいます。賃上げの継続は企業が生産性を高め、収益力を上げることが前提です。1円の賃上げを巡る競争は、地域の成長戦略の優劣を問うことになります。
米大リーグは1日、レギュラーシーズンが終了し、エンゼルスの大谷翔平選手がアメリカン・リーグ1位の44本塁打で、日本勢初の本塁打王に輝きました。打撃部門の主要タイトルに輝くのはメジャー6年目の大谷選手にとって日米通じて初めてで、日本選手では2004年に2度目の首位打者となったイチロー(マリナーズ)以来となりました。日本人の誇り、偉業の達成です。
口コミを装い商品やサービスを宣伝する「ステルスマーケティング」(ステマ)も規制が1日、始まりました。企業などが依頼した宣伝にもかかわらず、その旨を明らかにしないなど広告と分からないケースは景品表示法違反(不当表示)となります。処分対象は広告主で、実際に交流サイト(SNS)などで宣伝を担う「インフルエンサー」ら投稿者は含まれません。違反した広告主は措置命令の対象となり、従わない場合は2年以下の懲役や300万円以下の罰金などが科されます。