京セラの創業者で名誉会長の稲森和夫氏が24日老衰のためご逝去されました。1959年に京都セラミック(現京セラ)を設立し、66年に社長に就任しました。組織を小集団に分けて収益の管理を徹底する「アメーバ経営」とM&Aを原動力に京セラを世界的な企業に育てあげました。ご冥福を心よりお祈り申しあげます。
老舗の日本酒メーカーがウイスキー造りに挑戦する動きが広がっています。大手の黄桜(京都市)は今春、新製品を初めて発売しました。地場の酒蔵が蒸留所を設置する動きも相次いでいます。背景として、日本酒は市場の縮小が続き、足元では新型コロナウイルス禍で外食需要も急減したことにあります。国内外で人気が高まるウイスキーをもう一つの地酒として育て上げる考えです。
物価高に対応しようと基本給を大幅に引き上げるベースアップ(ベア)を今夏に実施する企業が相次いでいます。AGCは14年ぶり(6307円)、住友化学も4年ぶり(3000円)に実施しました。優秀な人材のつなぎとめに賃金増が必要と判断しています。家計が支出を増やして企業の収益を押し上げ、その成長の果実を企業と家計で分け合う好循環を生むためにも賃上げは必要不可欠です。ただ、賃上げは継続性や安定性も問われます。今秋以降に本格化する23年春季労使交渉で賃上げが物価上昇に追いつかないようだと、消費がしぼみ企業収益が落ち込む負のスパイラルに陥るリスクもあります。
トヨタ自動車はオプション装備などを限定して効率生産し、納期を最大で4分の1程度に短縮する「推奨仕様車」を設けます。今月発売の小型ミニバンから始め、セダンなどに広げます。半導体などの部品不足で新車は半年から1年単位の長い納期が続くほか、受注停止する車種もあり顧客離れが懸念されています。部品不足が自動車の生産・販売の手法に変化を促し始めており、生産・販売への影響をいかに最小限にとどめるかの工夫を各社は問われています。
米カリフォルニア州の環境当局は25日、2026年~35年にかけてガソリン車の販売を段階的に禁止する新たな規制案を決定しました。規制案では先ず26年に各メーカーは新車販売台数の35%を電気自動車(EV)などにする必要があります。この規制案によりハイブリッド車(HV)に強いトヨタ自動車をはじめ、日本車メーカーは規制面の高いハードル越えに直面することになりそうです。因みにカリフォルニア州の新車販売台数は日本の半分に相当します。
静岡銀行など90を超える地銀や信金が仲介役となり、大企業の人材を中小企業に紹介する取り組みが開始されます。高度なスキルを持つ人材は都市部の大企業に集中し、地方の中堅・中小企業では経営を担う人材が不足しています。政府系金融機関が管理するサイト(レビキャリ)に転職や副業を希望する個人が登録できるようにし、地銀などが人材のマッチングを受け持ちます。雇用の流動化を官民で促します。転職を前提とする移住に躊躇する人もいますが、副業や兼業であったり、テレワークが広がったりすれば、地方企業への求職者も増える可能性がありそうです。
浜松市は24日、創業希望者と後継者を探す企業を結びつける取り組み「ツグはまコンシェルジュ」を9月1日に始めると発表しました。同市や浜松商工会議所などが運営する「はままつ起業家カフェ」が仲介します。専用サイトを設け市内での創業を希望する人と、後継者を探す市内の事業者が、それぞれ業種や経歴などをまとめてサイトに掲載します。関心のある相手があれば起業家カフェに連絡をとり、相談員の立会いのもとで個別に面談します。両者が合意すれば静岡県事業承継・引継ぎ支援センターが具体的な条件を調整します。経営資源を引き継いだ開業や後継者としての就職など希望条件に応じて対応します。起業家にとっては、既存の経営資源を生かせれば創業の壁が低くなるメリットがあります。
新型コロナウイルス禍で落ち込んだ百貨店の収益が回復しつつあります。日本経済新聞の2021年度の百貨店調査で、各店の売上高の合計は前年度比12%増と3年ぶりに増加しました。コロナ以前の19年度の8割まで回復しています。時計など高額品の販売が伸び、都心の店舗の復調が顕著です。一方、地方店は回復が遅れています。例えば、札幌市の東急百貨店の21年度の売上高は19年度比6割にとどまっています。地方店の復調が鍵と言えそうです。
全国高校野球選手権大会決勝で仙台育英(宮城)が下関国際(山口)を8-1で破り、春夏通じて初優勝を果たしました。東北勢としても春夏合わせて13度目の決勝で初の甲子園制覇となり、悲願の「白河の関越え」を成し遂げました。両校の健闘を称えたいと思います。仙台育英の選手、監督、スタッフ、宮城県民・東北県民の皆さん、本当に優勝おめでとうございました👏
食品の値上げがメーカーの思うように進んでいないことがわかってきました。POS(販売時点情報管理)データで主要16品目の7月時点の店頭価格を調べた結果、3割にあたる5品目が値上げ表明幅の下限にも届いていませんでした。賃上げの鈍さから家計の購買力が上がらず、値上げの受入れに時間を要しています。ウクライナ危機による原料高や燃料高は続いており、適正に価格転嫁できなければ成長のための商品開発や賃上げの余力が低下します。このままコスト高が長引けば、生き残りに向けた再編が進む可能性があります。
時間の余裕のなさを示す「時間貧困」に日本の子育て世代が苦しんでいます。正社員の共働き世帯の3割が十分な育児家事や余暇の時間をとれていません。余暇の時間についても、日本は主要7ヵ国(G7)で最も少ないとされています。生活時間に余裕がなければ子どもを多く育てることは困難になり、ひいては少子化を加速させかねません。喫緊の施策が必要不可欠です。
小中学校で使用するデジタル教科書について、文部科学省が2024年度から英語で先行導入する方針を固めました。デジタル教科書は海外が先行し、日本は出遅れていました。ICT(情報通信技術)の活用で学習効果が高まるとされ、紙中心だった学校教育の転換点となりそうです。一方。課題としては、通信環境の整備が挙げられます。実証事業では、教員の48%がデジタル教科書の不便な点として、「フリーズやエラー表示への対処が必要」と指摘しています。複雑な機能が多ければ通信環境の負荷が増え、トラブルが発生する恐れもあります。デジタルの強みを最大限に発揮させるためには、新たな制度設計と学校の環境整備が求められます。
経済産業省の「DX認定制度(情報処理の促進に関する法律に基づき、DX戦略の実現に向けた体制が整備された事業者を認定する制度)」は、企業の信用力向上につながるほか、税制優遇などの利点があります。物流会社の浜松倉庫さんが静岡県内の中小企業では初めて認定されました。ロボットや人工知能(AI)などの導入により、倉庫内の業務効率を高めた点が高く評価されたようです。今後、「DX認定制度」の取得に拍車がかかることが予想され注目です。
スマートフォン決済「ペイペイ」の登録者数が5000万人に迫っています。マイナンバーカードに連動したキャッシュレス決済のポイント還元策「マイナポイント」経由で新規登録者数を多く獲得していることが大きいようです。国内スマートフォン利用者約9000万人の半数以上が利用している計算になります。大型の販売促進でシェアを拡大してきましたが、今後は黒字化が課題となります。
関西電力など大企業で「出向起業」の活用が広がっています。新規事業に挑戦したい社員が籍を残したままスタートアップを設立できる仕組みです。経営者として資金調達やビジネスモデル構築など過酷な実務にあたり、もしチャレンジに失敗したとしても、古巣に戻って経験を生かすことができます。エリート育成の定番であるMBA(経営学修士)留学にはない実戦経験で幹部候補を育成するのが狙いです。既存事業の延長線上に未来はなく、チャレンジしていかなければ会社も技術者もダメになるということでしょうか⁉
世界的な市場変動は地銀の損益に大きなダメージを与えています。上場地銀76行・グループの2022年4~6月期の決算は純利益が前年同期比で減少したところが約4割ありました。含み益のある株式を売却し、不良債権処理費用に充当していましたが、世界的な市場の混乱でその余裕が失いつつあります。世界的な金融緩和を背景にした相場上昇(追い風)に乗った市場依存型経営は大きな転換期を迎えています。今後は持続的に稼ぐ力(本業)をどのように構築するか、地銀経営は難しい課題に直面しています。
台風8号(メアリー)は、速度を上げながら本州へ向かっています。13日土曜には、東海・関東甲信に上陸、直撃する恐れがあります。非常に激しい雨や風で大荒れの天気になることが予想されますので警戒が必要です。
お盆を古里や行楽地で過ごす人たちの帰省ラッシュが本格化し、各地の駅や空港は11日、家族連れなどで賑わいました。鉄道と航空の国内線は下りの予約数がピークに。3年ぶりに新型コロナウイルス対策の行動制限がなく、高速道路では最長37キロの渋滞が発生しました。海外に向かう旅行者の姿も見られました。一方、国内の感染者数は11日も24万人を超えて高止まりが続いており、コロナ禍前の人手には及ばない見通しとなっています。皆さん、有意義なお盆をお過ごしください。
米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平選手が9日に開かれた試合で野球の神様ベーブ・ルース以来となる104年ぶりの快挙を達成しました。またまた球史に残る金字塔を打ち立てました。この先もどのような活躍、数字を記録するのか大いに注目されるところです。
ファミリーマートは2024年度までに飲料を自動で陳列棚に補充するロボットを300店舗導入します。店員の作業がほぼ不要となり、店舗での作業時間を1日当り2割程度削減できます。人手不足が深刻化するなか、ロボットなどを使った効率化が今後の競争力を左右しそうです。店舗の完全無人化もそれほど遠い将来の話ではないと思います。
急速な円安を受け、企業が2023年3月期の純利益見通しを上方修正する動きが広がっています。5日時点で50社を超えた上方修正額は9586億円と4~6月決算としては08年の金融危機後で2番目に多くなっています。ただし、外貨の円換算を中心とした利益押し上げに留まり、本業の伸びを伴った上方修正は少ないのです。為替相場次第では利益が大きく目減りする可能性もあります。企業が円安に依存せず成長軌道を取り戻せるかが今後の大きな課題となります。
半導体不足や供給網の混乱、円安の進行などでスマートフォンや車など、中古品と新品の販売価格の逆転現象が起きています。新品が品薄のために中古品の需要が高まっていたり、転売目的での購入が増えたいたりすることが背景です。例えば、人気が非常に高いスズキの軽四輪駆動車「ジムニー」のXCグレードの車両価格は7月で239万9000円(中央値)。新車はオプション機能をつけても210万~220万円ほどとなっています。この状況がいつまで続くのか懸念されるところです。
砂糖の国内卸価格が6%上昇し、38年ぶりの高値をつけました。原料糖(粗糖)の調達コストが上がったのを受けて製糖各社が実施した大幅値上げが流通市場で満額浸透することになりました。菓子メーカーなど需要社の原料コストの負担が一段と重くのしかかります。菓子の転嫁値上げの圧力が強まるほか、砂糖の小売価格などにも波及する可能性があります。スイーツ党にとっては重大なニュースとなります。
経済産業省は3日、節電に協力する家庭や企業に対し、ポイントの付与などで電気料金の負担を軽くする支援策の概要を発表しました。今年の冬の節電に協力するプログラムに申し込めば、電力の小売事業者を通じて家庭は2000円相当、企業は20万円相当のポイントなどを受け取ることができます。全国の契約のうち、半数程度の参加を目指すとしています。
プロ野球ヤクルトの内野手・村上崇隆選手が2日、神宮球場で行われた中日14回戦でプロ野球史上初となる5打席連続本塁打を達成しました。7月31日の対阪神戦から2試合またがっての記録樹立・偉業です。まだ弱冠22歳、これからいくつの球史を塗り替えるのか楽しみは尽きません。
中央最低賃金審議会の小委員会は1日、2022年度の最低賃金の目安を全国平均で時給961円にすることを決めました。前年度比の上げ幅は31円と過去最大で、伸び率は3.3%になりました。足元で進む物価上昇などを反映し大きな伸び率となります。一方、企業は賃上げに必要な利益を上げるために、生産性の向上を迫られることになります。例えば、物価高に対応する賃上げを進めるためには、デジタル技術活用などで製品やサービスの付加価値を上げ、生産性を改善し収益力を高める必要があります。最低賃金1000円時代が見えてきました。
小売りの現場や商品で男女の垣根を低くする取り組みが広がっています。性別にこだわらず好みの製品を求める傾向が背景にあります。ジェンダー(社会的性差)を巡っては消費者の信条によって認識に温度差がありますが、消費者の間口を広げる意味ではその効果が期待できそうです。男女を問わず、「よいものはよい」、「ほしいものはほしい」当たり前のことです。