ニンジンやジャガイモといった野菜の卸値が上昇しています。国内農産物の最大供給地である北海道が6~8月上旬にかけて記録的な少雨と猛暑に見舞われ、十分に育たなかったことが要因です。東京市場では北海道産の入荷が減少し、ニンジンが平年比2割、ジャガイモが4割高騰しています。消費が増える秋以降にかけてさらに値上がりする懸念もあります。業者や消費者にとっても大きな痛手です。
科学技術立国を掲げる日本の国際的な存在感が低下しています。科学論文の影響力や評価を示す指標はインドに抜かれ世界10位に陥落、世界3位の研究開発費や研究者数も伸び悩み長期化する研究開発に歯止めがかかりません。政府は「第6期科学技術・イノベーション基本計画」で、博士課程人材への財政支援の拡充、大学の経営基盤強化や若手研究者の支援などに向けて10兆円規模のファンドを立ち上げる方針です。巻き返しを期待したいです。
コンビニエンスストア最大手のセブンーイレブン・ジャパンは、売れ残り商品を店の判断で自由に値引きできるようにしました。従来は事前申請など煩雑な手続きを課し、結果として値引きの実行をためらわせていたのが実情です。公正取引委員会は、値引きを事実上制限している可能性があると改善を求めていました。今回の見直しにより、廃棄コストを負担してきた店舗の収益の改善要因なり、また食品ロスの削減も見込めます。2万店以上を擁するセブンが姿勢を変更したことは、業界商慣行の転換点になりそうです。
熱戦が続く東京パラリンピックで、日本企業が作った競技用義足や車イスが選手の活躍を支えています。従来は海外勢が強い分野でしたが、ものづくりで培った技術力や、身近で選手の要望を迅速に反映できる強みを生かしています。競技の面だけでなく、障害者の日常生活を支える新製品・サービスに応用できれば商機の拡大につながりそうです。競技そのものだけではなく、このような視点で観戦するのもいいかもしれません。
埼玉りそな銀行は25日、まちづくりや創業を支援する新会社を10月1日に設立すると発表しました。銀行の業務範囲拡大の一環として金融庁が設ける「銀行業高度化等社会」の制度を活用します。従来の銀行業務の枠組みを超えて産学官連携のハブ機能を担い、地域課題の解決を後押しします。会社名は「地域デザインラボさいたま(愛称ラボたま)」で、自治体の政策立案や事業立ち上げ後の伴走支援を行うとしています。大手行もついにこの範疇まで進出してきましたか!
企業名義で発行される法人カードが存在感を増しています。経費精算業務と連携し事務作業をデジタルトランスフォーメーション(DX)したい企業と、飽和状態にある個人向けからの利用者の裾野を広げたいカード会社の思惑が一致した形です。カード会社の顧客獲得競争の新たな主戦場になってきています。そういえば昨年、いろいろなところから法人カードの勧誘を受けました。
セブン&アイ・ホールディングスは国内コンビニエンスストアの全店2万店を活用した宅配事業に参入します。きめ細かい店舗網を生かし最短30分で商品を届けます。2025年度をメドに実現するとしています。国内小売市場ではコンビニが20年度に初めてマイナス成長に転じましたが、ネット通販は成長が続いています。ネットと店舗が融合した宅配サービスでアマゾン・ドット・コムなどに対抗します。因みに税抜き1千円以上の注文から対応し、330円の配送料、午後11時までの宅配に応じるようです。コンビニの進化が止まりません。
6月に成立した「プラスチック資源循環促進法」にもとづき、政府がまとめた事業者向けの具体策の原案がわかりました。コンビニや飲食店で無料配布する使い捨てのプラ製スプーン・ストロー、ヘアブラシ・歯ブラシ(ホテル)、ハンガー(クリーニング店)など計12品目を削減対象品目にします。プラ製品の使用量が年間5トン以上の事業者には有料化や再利用といった対応を義務づけします。2022年4月からの適用を目指します。当たり前のように使用していたものが当たり前でなくなります。
浜松商工会議所は、静岡県西部の中小企業の事業継続計画(BCP)策定状況についてまとめた調査結果を発表しました。BCPを既に策定した企業13%、新型コロナウイルス感染症対策を計画に含んだ企業8%、策定中6%、今後策定する13%でした。策定する予定がない理由として、「人手や時間が確保できない」「ノウハウやスキルがない」「効果が期待できない」が挙がっています。この数字をどう解釈すればよいのでしょうか。
国内のバイク販売が好調です。今年上期の原付を除く出荷台数は前年同期比で3割増となっています。ホンダの「ハンターカブ」などバイク各社がアジアで開発や生産した世界戦略車が、新型コロナウイルス禍でのアウトドアブームなどで人気を高めています。一方、コンテナ不足などによる供給遅延が長期化しています。電動化対応も求められており、ブームの先には難題も見えています。ハンターカブ「カッケー!」
外食大手のワタミは新型コロナウイルスワクチンを原則接種するよう社員に求めます。望まない場合はPCR検査を毎週受けてもらうことになります。安心感を醸成して集客につなげる狙いがあります。日本の現行法では接種が国民にとっての努力義務にとどまり、産業界では義務化には立ち入らないという受け止め方が主流となっています。今回の取組みは業務正常化議論に一石を投じた形となりました。
日本の広い範囲が豪雨に見舞われ、金融機関が対応を急いでいます。損害保険大手は、人工衛星やドローン、スマートフォンなどの1Tを積極的に活用し、被災状況の確認と迅速な保険金支払いに役立てます。また、銀行は浸水した家屋や工場の復旧に向け、優遇金利による融資を開始しています。被災された方は本当にお気の毒ですが、せめて事務手続きが簡略・スピーディーに進むことをお祈り申しあげます。それにしても太陽が待ち遠しい限りです。
全国高校野球選手権大会第4日の1回戦で、専修大学松戸高校が今春の選抜大会準優勝の明豊(大分)を6-0で破り甲子園初勝利をあげました。深沢投手が11奪三振で6安打完封です。プロ注目の右サイドスローです。今後の活躍に目が離せません。
通信機能を備えたコネクテッドカー(つながる車)をサイバー攻撃から守るために自動車メーカーやIT企業など90社が連携します。ソフトウェアの弱点やサイバー攻撃の動向などに関する情報を共有して、乗っ取りやデータ盗難を防止します。自動運転車の普及も迫るなか、車の品質を守るソフト面での対策が本格化します。従来はエンジンやシートベルトなどのハード面の品質や安全性が重視されてきましたが、ソフト面の欠陥がリコールに直結しており、サイバーセキュリティが喫緊の課題となっています。時代は変わりました。
基幹産業として地域を支えてきた農業の競争力に大きな差が生じています。過去5年間で全国1741市区町村のうち6割の974が産出額を伸ばした一方、4割は減少しています。躍進が目立つ九州勢の取組みを探ると、地域ブランドを活用した❛売れる農業❜の実像が見えてきます。宮崎県日向市の高級マンゴー「太陽のタマゴ」、宮崎県都城市の「宮崎牛」、鹿児島県鹿児島市の「かごしま黒豚」などです。稲作からの転換が奏功しています。実にシンプルで当たり前のように感じるかもしれませんが、『作ったものを売る』➡『売れるものを作る』という発想の転換、ブランド確立戦略が不可欠だと思います。
政府は企業の不正を通報した人の保護を強化する具体策を記した指針をまとめました。通報した人に降格や減給といった処分をした役員や社員を懲戒処分にするよう企業に求めます。2020年成立の改正公益通報者保護法に基づき、国が違反企業に指導・勧告し、それに従わなければ企業名を公表するとしています。改正法を踏まえた指針で内部通報の運用策を規定し、8月中にも告示するようです。
あおぞら銀行(旧日本債権信用銀行)は地域金融機関から不良債権を買い取り、対象企業の再建を支援する取組みを拡大するようです。新型コロナウイルスの影響で過剰債務を抱える企業が増え、金融機関の経営の重荷になりつつあります。既に約200行と協議を始めており、2021年度の後半以降から債権売却が活発化すると予測しています。この流れはバブル崩壊後の金融機関を想起させます。
世界各国の政府や企業が働き手のリスキリング(学び直し)に動き出しています。新型コロナウイルス収束後の経済再開をにらみ、デジタル関連など成長分野へ人材をシフトさせるためです。労働移動による産業構造の変化が進めば、経済の押し上げ効果は世界で約700兆円に達するとの試算もあります。スキルを高めて生産性を上げられるかどうかが各国の競争力を左右しそうです。デジタル化の遅れや生産性の低迷など、コロナ禍が顕在化させた日本の課題は、その多くが人材投資・開発の遅れが原因とされています。徹底したIT教育により遅れを取り戻し、デジタルで世界をリードしてほしいものです。
国連の気候変動に関する政府間パネルは9日、産業革命前(18世紀半ば~19世紀にかけて)と比べた世界の気温上昇が2021年~40年に1.5度に達するとの予測を公表しました。18年の想定より10年ほど早くなる計算です。そして、人間活動の温暖化への影響は「疑う余地はない」と断定しました。自然災害を増やす温暖化を抑制するには二酸化炭素(CO2)排出を実質ゼロにする必要があると指摘しています。大袈裟かもしれませんが、地球平和のためにも気候変動のリスクを真正面から受け止め、迅速に対策を講じることが不可欠です。
知的財産の保護に必要な特許料が2022年度に値上がりします。1件当たり年間最大5,500円の引き上げを予定しており、1993年度以来29年ぶりの増額になります。背景は、中国での特許出願と文献の急増に伴い、特許庁による審査のコストが膨張しており、財務面の改善につなげるためです。ここにも中国の影響力が大きく反映しています。
企業の業績回復が進む一方で、この先行きには3つの懸念材料があります。まず、新型コロナウイルスの感染再拡大、次に世界的な需要急増に伴う半導体の不足、最後に原材料価格の高騰です。既に収益への影響も出始めており、経営者は警戒を強め対応策を急いでいる状況です。ワクチン接種が進んだとしても、行動制限が続く可能性もあり、特にサービス業は、需要回復が遅れる懸念が生じています。
ホンダが55歳以上の社員を対象に募った早期退職に国内正社員の約5%に当たる2000人超が応募したことがわかりました。早期退職を募集するのは10年ぶりで、退職金に最大3年分の賃金を上乗せします。ホンダが人員削減に踏み切る背景には、電動化や自動運転へのシフトが急務となるなか、中高年層に偏重した社員構成を見直し、若手社員の登用を促進し、新技術への対応を急ぐためです。当たり前のことですが、世代交代の波はどの世界にも来ます。
ベネッセホールディングスが、主力の通信教育「進研ゼミ」を会員200万人の学習履歴ビッグデータで変革します。タブレット端末と人工知能(AI)の活用を進め、添削を担う1万人の赤ペン先生の指導力を強化します。生徒一人ひとりの弱点などを解析し、自動で学習計画なども作成するとしています。リクルートなどデジタルを駆使する新興勢力に対抗するのが狙いです。注目すべき業績評価については、2019年度から会員数から入会1年後の継続率に変更しています。
帝国データバンク静岡支店がまとめた調査によると、静岡県内企業で国連の「持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて、資材のリサイクルやクリーンエネルギーの導入などに実際に取り組む企業は全体の15.4%でした。比率でみると前年同時期の調査の7.7%から1年で2倍に増えています。コロナ禍の厳しい環境のなかで、さらなる理解と実行が求められています。
地方銀行の実力とリスクを分析する「NIKKEI Financial RAV」の2021年3月期のデータでは、いち早く再編を進めてきた持ち株会社型の地方銀行がトップ10に多くランクインしました。一方、下位まで見渡すと信用力が二極化する様子も浮き彫りになりました。政府や日銀も再編を促進する支援策を整備するなか、再編を占うヒントになりそうです。「銀行へ就職=一生安泰」とは、遠い過去の話で、一部の優良銀行を除き、今や「銀行=真冬・極寒の環境」へと激変しています。
厚生労働省は2回の新型コロナウイルスワクチン接種を終えている人に対し、2022年に3回目の接種を検討します。時間の経過とともに低下する免疫を高める効果を狙います。背景として、感染力の高い変異型ウイルスへの警戒が強まっていることに因ります。ただ、ワクチンの確保や費用負担の範囲、混合接種の是非など実施に向けた課題は山積しています。平穏な日常を取り戻すためなら3回目のワクチン接種はやむを得ないと思います。
東京五輪は17日間の日程の折り返しを迎えました。24日から続いていた日本勢の金メダルラッシュは31日に途切れたものの、既に過去最多を更新する17個を獲得するなど好調を維持しています。一方、国内の新型コロナウイルスの感染者は急増し、また日本の酷暑にも海外選手らの不満が相次いでいます。正に超激異例の大会運営は、後半も過酷な試練が続きます。今は静かに見守るだけです。