採用や労務といった企業の人事分野でデータを駆使する新たなテクノロジーの普及が進んでいます。人事(ヒユーマンリソース=HR)にテクノロジーをかけ合わせることから「HRテック」と呼ばれ新サービスが続々と生まれています。HRテックは社員の特性や能力を見える化する技術です。業務の効率化や社員の生産性向上を狙って導入する例が多いです。人工知能(AI)など関連技術が進化し、担当者の経験や勘に頼っていた業務の代行も可能になってきました。遠州信用金庫など地域金融機関もHRを活用して新卒採用を行うようですが、HRテックも人が生み出すデータを基準にする以上、バイアス(偏差値)が混在しかねません。採用などでの不当な差別を防ぐため、使う企業は透明性の確保が欠かせません。
総務省が発表した住宅・土地統計調査(速報値)によると、静岡県内の住宅総数に占める空き家の割合は2018年10月時点で16.4%でした。13年の前回調査に比べ0.1%上昇し、過去最高を示しました。行政は対策を強化していますが、食い止められていません。空き家の増加の背景には止まらない少子高齢化や人口流出があり、今後も傾向は変わらないとみられます。国立社会保障・人口問題研究所によると、40年の県内一般世帯数は15年比7%減少する見通しです。空き家が増えれば景観や治安の悪化などにつながりかねません。対策としては、データベース「空き家バンク」の運営や、改修への補助金で空き家の購入を促す市町も増えています。空き家だけでなく、市民の生活に欠かせない空き店舗対策も急がれます。
三井住友銀行が個人向け金融商品の販売で、行員に課す「ノルマ」を廃止しました。これまでは投資信託や保険の販売額などで支店の評価を決めてきました。4月からは評価基準を見直し、顧客の運用残高をどれだけ増やしたかを重視することにしました。脱ノルマ営業に向けた取り組みは注目を集めそうです。大きく戦略を転換する背景には、顧客重視のビジネスを求める金融庁の意向があるようです。金融庁は手数料の高い投信を頻繁に買い替えさせる営業手法を改めるように要請してきており、とくに知識が乏しい高齢者に対し、複雑な金融商品を勧める金融機関の姿勢を問題視してきたためです。
会計検査院は、国の女性を受けて運営されている「企業主導型保育所」の利用状況をサンプル調査した結果を明らかにしました。全体の約4割が定員に対する児童数の割合(充足率)が5割未満でした。検査院は「助成の効果が十分に表れていない」として所管する内閣府に改善を求めました。国の助成を受けられる企業主導型保育所は急速に整備された一方で、運営会社が従業員の需要を確かめないまま定員を決めるなど、経営や運営の安定性に疑問のある事業者もみられます。やはりこれは助成金ありきの弊害でしょうか。
三菱自動車は多目的スポーツ車(SUV)「パジェロ」の国内販売を終了します。長年会社を代表する看板車種でしたが、環境規制の強化や消費者の嗜好の変化に対応できませんでした。国内販売の最後を飾る車を年内に販売し、約30年にわたる国内での歴史に幕を閉じることになります。三菱自動車は、電動車とSUVの融合に活路を求めますが、後継者探しは途上にあり、パジェロに並ぶヒットは生み出されていません。新旧技術の融合が三菱自動車最大の課題となりそうです。
経済産業省がコンビニエンスストア大手に対し策定を求めていた人手不足などの是正に向けた行動計画について、コンビニ大手は公表を予定しています。各企業は24時間営業への対応や、利用客が自ら精算するセルフレジ導入など省力化に向けた取り組みを発表するようです。どのような内容に落ち着くのか注目されます。
経団連と大学側は、新卒学生の通年採用を拡大することで合意しました。ITなどの高い技術を持つ人材の通年採用が進めば、新卒一括採用で入社した人も含めて専門性が求められる時代になります。人材の流動化につながり、戦後続いた新卒一括採用と終身雇用に偏った雇用慣行は転機を迎えます。例えば、ひとつの会社で通用する能力をいくら身につけても、事業モデルそのものが変われば行き場はなくなってしまいます。終身雇用の時代と違い、従業員も専門的な技術や知識を高め、生産性を上げることが求められているのです。
企業の女性役員比率の3割達成を目指す活動「30%クラブ」が5月1日、日本で始動します。主要企業のトップがメンバーとして参加し2030年末までの達成を目指します。同クラブは10年に英国で発足しています。日本は世界で14番目の国・地域として活動を始めます。日本の主要企業100社の女性役員比率は17年時点で6.5%で、同クラブは取締役会に占める女性の割合を20年末に10%、30年末に30%にする目標を掲げています。日本政府は男女共同参画基本計画に、20年までに上場企業の女性役員の割合を10%以上にする目標を盛込んでいます。この流れは政治の世界(議員の女性進出)へと向かっていくと思われます。
日本経済新聞社が20日まとめた採用計画調査で、主要企業の2019年度の中途採用計画数は6万6763人となりました。18年度比12.7%増で、増加は10年連続となります。人工知能(AI)の開発者やエンジニアなどIT(情報技術)人材で即戦力を求める動きが強まるうえ、人手不足も続いていることが背景にあります。中途採用は新卒を含めた全体の採用計画の3割に迫る水準に達しています。今後は特に建設技術者、システムエンジニア、あらゆるものがネットにつながる「IoT」やAI、サイバーセキュリティ関連の経験者を即戦力として起用し、異業種や官民の連携も進んでいくことが予想されます。
10月の消費税率10%への引き上げを巡り、注文住宅を税率8%のままで建てられる特例措置の期限が3月末で切れました。現時点では大きな需要の増加はみられず、増税前の駆け込み消費の第一波は小幅にとどまったもようです。高額商品の車の売れ行きも現時点では平年並みですが、夏のボーナス時期など10月に近づいてくれば家電製品など耐久財の駆け込み需要の動きが出ることも予想されます。また、4月以降は改元や10連休など消費を喚起するイベントが多く、こうしたタイミングで一定の駆け込み需要が起きる可能性もあります。高額品購入をお考えなら増税前の今がチャンスかもしれません。
厚生労働省がまとめた薬事工業生産動態統計によりますと、2017年の静岡県の医薬品生産額は16年比24.3%増の6820億円でした。06年以来11年ぶりに全国1位に返り咲きました。この要因は、県内に構える大手製薬会社の工場で高額医薬品の生産が好調だったことです。県内には豊富な水資源や物流の利便性、人材確保のしやすさなどを背景に多くの製薬工場などが立地しています。県は医療関連産業を一段と集積させようと「ファルマバレー」構想を進めています。静岡県の魅力の多さを改めて感じています。
金融専門誌の近代セールス5.1を執筆させていただきました。大きなテーマは、「人材不足に悩む取引先はこう支援する」で、私の担当箇所は、「人手が足りない取引先にはこんなアドバイスもしてみよう」でした。外注を行う、ムリ・ムダ・ムラをなくす、受注を減らす(適正量に抑える)、就労体系の見直しの4つを提案しています。詳細については、ご購読いただければ幸いです。このHP(近代セールス社)からもご購入いただけます。
日銀は17日発表した金融システムリポートで約6割の地方銀行が10年後の2028年度に最終赤字になるとの試算を示しました。人口減と低成長に伴う資金需要の先細りで貸出の伸びが鈍り、銀行間の競争が激しくなり、利ざやの縮小が続くためです。一方、各行が注力してきた不動産融資にはバブル期の1990年末以降となる過熱サインを示し、一部の金融機関に金融緩和のひずみがリスクとして溜まっていることに警鐘を鳴らしています。栄枯盛衰。金融機関に対して学生の人気が凋落しているのも納得できます。寂しい限りです。こんな夜は一杯飲んで気分転換が一番です。
国土交通省中部運輸局がまとめた1月の宿泊旅行統計によると、静岡県内の外国人延べ宿泊者数は前年同月比20.5%の13万6320人でした。4ヶ月連続で前年実績を上回っています。主に中国人観光客が76%とけん引しています。富士山など県内の観光資源が好まれているうえ、静岡空港の中国路線の拡充で利便性も高まったことが要因です。次いで韓国、台湾がそれぞれ5%で続いています。
政府は1万円、5千円、千円の紙幣(日本銀行券)を印刷すると発表しました。1万円札の肖像画には第一国立銀行(現みずほ銀行)などを設立した渋沢栄一、5千円札には津田塾大学を創設した津田梅子、千円札には破傷風菌の純粋培養に成功した北里柴三郎を採用します。偽造防止のために約20年ごとに変えており、今回もその一環で、2024年度上期に発行する予定となっています。新紙幣は印刷までに2年半かかり、自動販売機やATMなどが対応する期間として2年半を想定して発行時期を決めています。ATMなどは紙幣を判別するソフトウェアの改修が必要になります。自販機メーカーやATMメーカーは特需が見込まれ株価も上昇しています。
美容室など異業種が家電を販売するケースが増えています。家電を卸売りするヤマダ電機グループなどから仕入れ、得意客に販売して新たな収益源にしています。こうした隠れ電器店が新たな勢力になりつつあります。例えば、加盟料10万円に加え、月1万円の会費を払うと加盟店はヤマダ電機とほぼ同じ値段で家電を仕入れることができます。具体的には、美容院がドライヤーを薦めるなど加盟店は在庫リスクを避けながら、新たな収益の機会につながります。美容院が乱立し競争が激化することで売上減少がおこるなか、少しでも売上減少をカバーする新たなサービスの提供が強まっていきそうです。
ヘアカット専門店「QBハウス」を展開するキュービーネットホールディングスが市場で注目を集めています。QBは店舗の6割がショッピングセンターにあり女性客を意識した外観の増えています。「低価格・短時間・高利便性・カットのみ・予約不要」という特徴が女性客にも浸透しつつあり前髪だけ切るような「ちょいカット」市場が生まれ始めています。課題である従業員の定着にも注力しています。昇級や職場の面談増加をとおして待遇を改善しています。2月に通常料金を1080円から1200円へ値上げしましたが、値上げ分を原資に従業員への還元も強め、中長期的には離職率を5%(現在は1割弱)まで引き下げる予定です。個人美容院の激戦が続くなか、美容院業界に新たな風が吹き込まれています。
驚きです!豊洲市場で店を構える仲卸の商売が振るわないそうです。開場から半年、最新の設備と機能を備えた巨大市場の不振には魚消費の低迷が影響しています。仲卸の苦境は豊洲に限らず全国各地で水産市場が閉鎖や規模縮小に追い込まれる動きが出ています。近いところでは3月に浦安魚市場が66年の歴史に幕を下ろし、10月には名古屋の柳端中央市場が閉鎖される予定です。活路は香港やマレーシアなど海外への鮮魚発送です。流通構造は大きく変化しており、仲卸も新しい商売の方法に取組んでいく時代へと移っています。
日米欧などの国際共同研究グループは、銀河の中心にある巨大ブラックホールの撮影に初めて成功したと発表しました。世界の8つの電波望遠鏡を連動させ、極めて解像度の高い巨大望遠鏡に見立てて観測したものです。今までブラックホールの存在は間接的な証拠からわかっていましたが、目に見える形で姿を捉えることはありませんでした。謎に包まれた天体の解明につながるノーベル賞級の快挙で、データ解析に使われた技術は、人工知能や通信、新素材の開発や医療にも役立ちます。新たな産業への貢献が期待されます。
遠鉄百貨店は、新館5階と本館8階を2019年秋に改装オープンすると発表しました。改装の面積は約3000平方メートルです。生活雑貨や飲食店の導入で、ファミリー層や若年層を中心とした来店客数の増加を目指します。本館8階のレストランフロアは17ぶりの改装で対象面積は約1200平方メートルです。目玉のハンバーグ店「炭焼きレストランさわやか」のほか、浜松餃子など地域の名物を味わえる飲食店10店ほどが出店する予定です。新たな集客の起爆剤となるか、注目と期待が高まります。
日本マクドナルドは、スマホで注文から決済までできる仕組みを全国で初めて静岡県で導入します。接客に専念するスタッフの配置も合わせて始めます。モバイルオーダーは専用アプリから注文し、来店時に決済する仕組みです。レジで待つことなく商品を受け取ることができます。店舗の席からの注文も可能で、テーブル番号を入力すれば店員が席まで運んできます。接客の専門員は高齢者や子ども連れなどがメニュー選びや席の確保が難しい場合に案内するなど、幅広いニーズに対応します。モバイルオーダーによる省力化で人的サービスの質を向上するというメリットが生じます。
東京商工リサーチが発表した2018年度の倒産件数は、前年度比3%減の8111件でした。景気の回復と金融機関による融資姿勢の緩和を受け、1990年度の7157件に次ぐ28年ぶりの低水準にとどまりました。一方、人手不足関連の倒産は29%増の400件となり、過去最多となりました。今後、倒産件数を押し上げる要因となる可能性があります。業種別では運輸業が10%増、サービス業・他が2%増と人件費率が比較的高い産業で倒産が増えています。とくに人件費増が顕著な大都市圏で倒産が増え始めています。今後、大都市圏への人口流出など地方への影響が懸念されます。
高校生の就職活動で「応募は1人1社のみ」とする長年のルールの見直しが動き出しています。人手不足の深刻さが増し、企業からより自由に採用を進めたいという要望が出ているためです。売り手市場の波が大学卒から高卒まで広がるなか、文部科学省と厚生労働省は検討会議で20年春をめどに慎重に意見をまとめる予定です。これは、就職後3年以内の離職率は高卒で40%程度と大卒の30%前後を上回り、高校生の希望と企業の求める人材のミスマッチは背景にあります。若手の人材を適材適所で活用する仕組みを巡り模索が続きます。
個人向けの代表的な金融商品の投資信託の新規設定が減少しています。2018年度は366本と前年度比99本(21%)減り、10年ぶりの少なさになっています。これは証券・運用業界で顧客重視の姿勢が強まってきたためです。次から次へと新しい投信を出しては顧客にその都度乗り換えさせるのではなく、同じ投信を長期でじっくり保有してもらうビジネスモデルへの転換が進んでいるためです。とくに人工知能やロボティクスなどの領域に運用を絞るテーマ型投信も少なくなっており、若者を中心に関心が薄れています。今後は目先の投信運用ではなく、長期での運用力という実力本位での競争が中心になることが予想されます。
セブン&アイ・ホールディングスは、2019年度(20年2月期)の国内コンビニエンスストアの店舗の増加数が前年度比8割減の150店となる見込みだと発表しました。増加率は0.7%にとどまり、200店を下回るのは1977年度以来約40年ぶりです。人手不足や人件費の上昇でフランチャイズチェーン加盟店の経営環境が厳しさを増すなか、成長を支えてきた大量出店モデルは転機を迎えています。150店の増加数は、店舗数の拡大が事実上ストップしたともいえる水準です。
仕事の区切りや疲れを癒やすためエネルギーを補給しに行くのが、中国料理「二葉」さんの陳麻婆豆腐(チンマーボーと呼んでいます)。中華の鉄人陳健一の流れをくむ店主オススメの自信作です。その味はというと、一度食べたらやみつきになることうけ合いです。一度は食してみたい逸品です。場所:浜松市北区細江町気賀340-2(天竜浜名湖鉄道気賀駅南) 電話:053-522-0306 営業時間:11:00~14:30 17:00~20:30 定休日:火曜日
政府の統合イノベーション戦略推進会議は、人工知能(AI)を使いこなす人材を年間25万人育成する戦略案を公表しました。あらゆるモノがネットにつながる「IOT」の普及やビッグデータの活用によりAIの知識が製品開発事業展開に欠かせなくなりつつあります。年25万人目標の達成に向けた大学や企業の取組みが始まりました。AI技術者やデータサイエンティストらを求める動きは業種を超えて激しさを増しています。経済産業省によりますと、日本の産業界で20年末にAI人材が約30万人不足すると試算しています。
皇位継承に伴い4月27日から10連休となるゴールデンウイークを控え、連休中にサービスを提供する企業や公共機関で人手確保が喫緊の課題となっています。4月から働き方改革関連法が施行されており、10連休中の営業日を減らす動きもあります。人手不足が深刻になるなか、人材をかき集めて10連休中のサービスを維持するか、稼ぎ時でも従業員の働き方改革を優先するのか、企業はその対応に迫られています。
ローソンは利用客が自ら精算するセルフレジを導入します。10月の消費増税までに全1万4000店で利用できるようにします。店内にあるレジの一部で利用客が専用端末を使って商品のバーコードを読み取り精算する方式です。24時間営業を見直す声が加盟店から上がるなど人手不足が深刻さを増すなか、店舗運営を省力化して生産性を高めるのが狙いです。1店舗1日あたりの3割に相当する5時間を減らせると見込んでいます。この傾向はファミマなどのコンビニへも影響を与えると思われます。
経済産業省が発表した工場立地動向調査によると、2018年の静岡県内の立地件数(1千㎡以上の用地取得)は前年比31%減(30件減)の67件でした。16年と17年は全国1位でしたが、4位まで下がりました。立地面積は36%減の62㌶で全国5位でした。業種別では、輸送用機械器具製造が12件で最も多く、次いで食料品製造が10件でした。地域別では県西部・西遠が最も多い27件、静清・大井川が18件、中遠、東駿河湾がともに11件でした。工場誘致は地域経済の活性化に密接につながっています。
金融機関店舗の統廃合に伴い、役目を終えた店舗のリノベーションが活発化しています。例えば、町の中心部の立地や広い駐車場に魅力を感じ、土地・建物を産地直送施設に改装した例があります。イスなどの備品はそのまま活用し、金庫をワインセラーにしています。他にも昭和初期に建てられた格調高いコンクリート製の2階建て建築物を地元食材の料理を提供するレストランにした例もあります。静岡県も地域金融機関の再編で空き店舗が増えます。地域のにぎわい創出にもつながる旧店舗の活用策が注目されます。