これは最近あった事例です。洋風居酒屋を起業したいという若者Kさんの依頼で一緒に事業計画書を策定しました。自己資金が少ないうえに、開業資金が1500万円必要なことから、私もそうそう簡単には融資に応じてもらえないだろうと思っていましたが、Kさんの過去の実績に基づいて策定した事業計画書の内容はよくまとまっており、「とにかくKさんの創業の思いや自信をぶつけてきて」とアドバイスし送りだしました。
まず出向いたのはA金融機関でした。案の定、1500万円の設備投資は負担が大きすぎると一刀両断で否決されました。しかたがないので次に行ったのがB金融機関です。こちらの担当者は、1500万円の設備投資をリースやリサイクル製品で削減することを提案し、それでも不足する資金を日本政策金融公庫との協調融資で対応するよう迅速に便宜を図ってくれたのです。さらに驚いたことには、Kさんの居酒屋で提供するメニューをモニタリングを兼ねて試食し、適切なアドバイスまでしてくれたというのです。Kさんは私にB金融機関の対応にとても感謝し満足した様子で報告してくれました。B金融機関は、A金融機関のようにただリスクを避け否決するのではなく、「どうしたら融資を行うことができ、何をどう評価することが最も重要なのか、そして開業に導くことができるのか」という視点で真剣に、真摯な態度で取組んでいたのです。
この事例は、全ての業種・業態に共通することです。つまり、「現状できる最善(良)のサービス」を提供することがいかに重要なのかということです。このようにAとB両金融機関の対応の違い(格差)が生き残りの分岐点になるのだと思います。